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金融市場でささやかれるトランプ相場の持続性



要約

  • ヨーロッパに問題がなければ年内は上昇相場
  • ヨーロッパに問題があっても影響は小さい

導入

 トランプ大統領誕生後、相場は全面高の展開となっています。そこで証券会社間でささやかれている相場の持続性についての噂を紹介します。

上昇相場の理由

 今の上昇相場はトランプ大統領による財政出動による米国での期待インフレ率上昇によるものです。つまり、トランプ氏が掲げる財政出動を今の完全雇用下で行えば、インフレする可能性が極めて高いとし債券相場が下落、したがって日米金利差拡大、円安株高という構図です。

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 特に日銀のイールドカーブコントロールによる固定金利の釘付けの効果は強く、日米の金利差拡大は米国債券の利回り上昇によってもたらされます。また、米国債券の利回り上昇にはFRBによる12月の利上げ観測も一役を買っています。そのため、FRBメンバーが利上げをしないという趣旨の発言をすれば円安シナリオに問題は出てきます。

 従って、相変わらず、外需、米国によって景気が左右する日本は米国経済が良ければ見通しが明るいという状況のままです。

金融市場の噂

 ではこれがいつまで持つのかというのが一つのポイントになります。証券会社間ではトランプ大統領の着任~政策着手までとされています。

 というのも、すでに発言をひっくり返しているトランプ氏が実際に行動をとれる可能性は危ういからです。また、米国が利上げを行えば新興国からの資金流出も免れず、安全と言えるのはせいぜい年末まででしょうか。

 既にドル高は進行しており、新興国通貨や株価に注目が必要です。

トランプ政権

 先ほど述べたようにトランプ氏によってドル高が一時的にはもたらされますが、基本的にはトランプ氏の政策は保護主義であるため、ドル安をたくらむことになると思います。ただしそれは2018年のFRB議長の選任以降に影響が出ると思われます。

ヨーロッパ問題

 ブレグジットの再来が危惧されるヨーロッパ各国の政治イベントですが、短期的な下方リスクがあるものの先ほど述べた米国主導の円安シナリオが生きている限り問題はありません。

補足(11/24/2016)

 相場を見ているとバリュエーションが低すぎた銘柄を中心に株価上昇が続いているものの、中長期的な見通しとしては懸念点が多いことから、優良企業でも高値を追う展開にはなっていないことから上昇相場ではあるものの、長続きしないと考えられます。今後は利益確定とじり高を繰り返す展開になると思われます。

 ポジティブな材料として考えられるのはせいぜいFRBの翌年以降の利上げペース加速をさせるアナウンスですが、これも中長期的には米国企業の投資意欲を減退させ、かつドル高となると米国の外需系企業はダメージを大きく受けることになります。すると再びドル安の流れに変わると思われ、やはり年明け以降の相場には注意が必要です。

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