要約
- 1動詞を判定
- 2節を判断
- 3句を判断
- 4修飾/指示語関係を判断
導入
今回は単語がわかってても読めない英文の読み方(コツ)を紹介します。
大体の英文は単語さえわかれば何とかなることが多いと思います。ですが、受験でのセンター試験や国公立や医学部の二次試験はもちろん、TOEIC/TOEFL、論文/新聞などの本格的な英文は一文が長くて単語は分かっていてもわからなかったという経験があると思います。
巷では英文解釈や長文読解法などのテクニックは、たくさんあると思います。いろんなやり方が書いてありますが、その中で今回紹介するのは、英文、引いて言えば西洋の言語の読み方の王道です。
具体的に言えば、ここで紹介するのは日本一の外国語大学である、国立東京外国語大学卒の知人から教わった方法です。準ネイティブの私としても納得のいく英文の読み方です。
想定している状況
想定している状況は、単語は全て分かっていることに加え、基礎的な文法知識を備えていることです。
また、基本的な英文の構造(5文型,句/節)も知っておく必要があります。以下で2-3分で学べます。
大まかな流れ
大体の流れは上の図のようになります。では、ステップ1から解説していきます。
ステップ1: 動詞を判定する
読めない英文に出会った時、まず行うのは動詞がどれかを判定することです。動詞の形は原形、過去形、現在分詞形、過去分詞形の4つしかありません。その中で動詞の形でも動詞として扱えない(5文型で考えるときVとできない)パターンがあります。それを以下の表にまとめました。
では、それぞれの形がどのように動詞になるかを紹介します。
- 原形...助動詞が前にあれば必ず動詞。主語になれる名詞があれば動詞の可能性が高い。
- 過去形...常に動詞。
- 現在分詞形...前にbe動詞があれば必ず動詞。
- 過去分詞形...前にhave/be動詞があれば必ず動詞。
以上の場合は節の中で必ず、動詞としての役割を持つことになります。裏を返せば、以上で必ずと言っている場合、それに当てはまらなければほぼ確実に動詞ではありません。
例で実際に動詞を判断
季節がらセンター試験の問題をお借りして解説しようと思います。
以上の判断方法を使うと動詞ではあるが、文中で動詞として機能する動詞、そうでない動詞を見極めることができます。
しかし、実際には判断が難しいケースがあります。その際はステップ2も同時に用いながら判断できます。
注意点:倒置が起きる場合
倒置が起きた場合、語順が狂うため判断に気を付けなくてはなりません。倒置というのはいわゆる疑問文の語順になるということです。
今回例は割愛しますが、英文分析に当たって倒置は最も気を付けなくてはならない事項の1つです。
ステップ2:節を判断する
次に、文中の構造の判断を行います。英文を構成するパーツとして最も大きく、判断が簡単につけられるのは節です。
節には以下の2つの特徴があります。
- 主語+動詞(S+V)が必ず1個だけある
- 接続詞なしでは節は作れない。(省略されることはある)
以上の2つの特徴をつかんでおくと、文中で節を見つけることには苦労しません。節がわかってしまえば、節の中は大抵簡単な英文になります。
例で実際に節を判断
同様の文章で節を判断します。
howが接続詞であることから節の性質を考慮すると、ステップ1で確認したように、動詞が"are used"と"may give"の2つであることから以上のようにhowの節がstudentsまでであることがわかります。
具体的には、節が始まって直後のshooclyardsが名詞であり、are usedが動詞であることからここが節内のSVになります。そして、may giveが動詞となるためには節の外でないといけないため、文全体の動詞であることがわかります。そのとき、knowingが動"名詞"であることからknowingが主語だと判断がつきます。
更に言えば、この節はknowingを修飾する形容詞節です。SとVの間に挟まれている以上SもしくはVを修飾をせざるを得ないので名詞節にはなりません。そして内容もしくは、英文では大きな塊の修飾語は後ろから修飾するということを考えるとknowingを修飾する形容詞節です。
注意点1:接続詞が省略されているとき
接続詞に当たる語が省略されることがあります。これは主に以下の2パターンがあります。
- 関係詞...2以上ある動詞の間に接続詞がない。かつ、関係詞特有の単語の欠落が見られる。
- 仮定法...接続詞の省略が起きると倒置が起きる。
動詞が2つ以上あるのに、それらの間に接続詞がない場合、接続詞が必ず省略されていることを念頭に、適宜補完する必要があります。
これには
注意点2:接続詞が節を作らないとき
接続詞が必ず節を作るとは限りません。最もシンプルな例は等位接続詞のandは単語同士を結ぶこともあります。従って、接続詞があったから必ず節が来るというわけではないことには留意しておきましょう。
ステップ1で動詞が2つ以上みつかっており、その間に接続詞があれば、その接続詞は節を作っている可能性が高いです。
ステップ3: 句の判断
節の次に大きな塊は句です。句には主に3つのパターンがあり、2つの性質があります。
- 前置詞/分詞/不定詞句...主な句のパターンはこの3つです。
- 句は節と違いSV両方は存在しない
節がわかり、句の単位まで区切れれば、大抵英文がいくつかのシンプルな塊に分解され英文の意味が分かると思います。
例で実際に句を判断
では実際に句を判断します。
今回は前置詞句と不定詞句があります。by studentsは受動態の動作主を表す句です。are usedを修飾します。
不定詞句はideasを修飾する形容詞句です。promoteの目的語としてtheir physical activityも句の中に入ります。
ステップ4:修飾/指示語関係の把握
英文を各パーツに分解した後、それぞれの関係を把握することで英文の解釈が完成します。基本的には簡単なのですが、複雑なときは厄介なステップです。それぞれについて解説します。
修飾関係の把握
修飾関係が難しくなるのは、日本語ではあまり見ないような構造の文章が現れるときです。今回は特に解釈が難しくなる2大パターンを紹介します。
- 挿入...語/句/節をコンマで括って文中に挟み込む
- 同格...名詞の後にそれを説明する語句を持ってくる
これらはなれないと、語順通り読むと混乱を招く原因となります。以下で例を挙げてより詳しく紹介します。
挿入の例
1.挿入されたものをないものとして読む 2. 挿入部分を通常文頭に付け加えるの順で読むと意味が分かります。では実際に例を使ってみましょう。
同格の例
同格は様々な形で出てきます。今回は最も英文解釈で混乱が生じやすいパターン、「コンマで同格を表す」を例で使いたいと思います。実は挿入同様に1. 同格をないものとして読む、2. 同格が直前の名詞に対する形容詞だと思って読む の順で読めば意味が分かります。
指示語関係の把握
文章読解に当たり、時たま厄介なのが指示語が何をさしているかを把握することです。基本的には一番近くにある単数形/複数形が一致する名詞を指します。
ですが、そうでない場合に判断に必要な知識を紹介します。それは、指示語は英文のうち、4つのパーツを指すことがあるということです。
- 語...単数or複数
- 句...単数
- 節...単数
- 文...単数
例で実際に修飾関係/指示語関係を判断
以上の4ステップを踏まえると以上のようになります。一点難しいのがtheirが複数形でideasを指すかと思いきや、内容からの判断で少し遠いstudentsを指しているところです。
一応、参考の訳を記載すると、「従って、どのように校庭が生徒に使われているかを知ることで、彼らの運動を促すのに有効な案を得られるかもしれない」と言って具合になります。
参考書
筆者も受験の時に使いましたが、この本は英文読解のかゆいところを網羅してくれており、非常に参考になりました。少し古い本ではありますが、英文の構造は全く変わっていないので安心して使えると思います。
*1:センター試験 2017 英語 第4問