要約
- ベータを直接測定するならば週次
- ベータを間接的に測定するならば3社以上は同業が必要
導入
このページでは個別株式が株式指数等に対してどのくらい変動するかを示すベータに関して詳しく紹介します。
ベータとは
ベータとは企業の株式が、株式指数に対してどのくらい変動するかを示す数値です。ベータのイメージ図式化すると以下のようになります。
10年国債の利回りを引いた分の変動率同士の倍率がベータとなります。(CAPM理論に基づいています)
ベータは株価の変動率であるため、個別株の持つリスクの倍率でもあります。ベータが高ければ高いほどリスクが高く、割引率が高くなります。
ベータの測定方法
ベータの測定方法には2通りが存在します。それらについてそれぞれ紹介します。
直接ベータを測る
直接個別企業のベータを測る場合、以下の式を用います。(日本株の場合)
この計算に当たり2つのことを決める必要があります。
- 測定期間...いつからいつまでのベータを測定するか。企業のリスクに変化、もしくは株式市場に変化があった場合それ以前はベータの計測に用いません。
- 測定インターバル...いつからいつまでの変動率として計算するのか。一般的には一週間(週次、5日)か一カ月のインターバル(月次、20日)が適切とされています。
測定期間の決定は難しく、個別企業によって異なります。新しい事業/地域に乗り出した場合や事業構成が大幅に変わった場合はそれ以前をベータの測定に含まないようにする必要があります。
また、測定インターバルに合わせて10年国債の利回りを分割する必要があります。つまり、週次であれば、52、月次であれば12で10年国債の利回りを割る必要があります。
実際のベータの計算自体には回帰分析を用います。最も簡単な方法ではエクセルのアドインのデータ分析の回帰分析のYに上式の左辺、Xに右辺を入れることで計算されます。この際に、YとXにどのようにデータ(右辺/左辺)を入れるか2通りあります。
- 期間が重なる測定インターバルのデータは使わない...この方法では例えば9/1-9/5のデータの次は9/8-9/12のデータを入れます。
- 期間が重なる測定インターバルのデータを使う...この方法はローリングウィンドウ(rolling window)またはムービングウィンドウと呼ばれる手法です。9/1-9/5のデータの次は9/2-9/8(土日をまたぐため+2)とデータを入れます。
同業からベータを推測する
この手法の場合、同業のベータの平均もしくは中央値を算出し、それを用いて計算します。手順に従ってその方法を説明します。
- 直接ベータを測る方法で同業のベータを計測
- 各企業のベータをアンレバードベータ(後述)に直す
- 各企業のアンレバードベータの平均/中央値を取る
- 調査企業の資本構成に応じて3のアンレバードベータをベータに直す
以上の方法で企業のベータを間接的に算出することができます。この手法はTVにおけるベータもしくは直接測定したベータの信頼性が低い場合に使用します。
同業は少なくとも3社、理想では5社は必要です。
アンレバードベータ
アンレバードベータとは財務レバレッジがなかった場合のベータです。アンレバードベータとの対比で通常のベータをレバードベータ(ここでは単にベータ)と呼ぶこともあります。
ベータは企業のリスクの度合いとも捉えられるため、そのため財務レバレッジがかかっている企業の方がベータが高い傾向にあります。アンレバードベータは以下の式で算出されます。
ここでのD/Eレシオは時価を用います。逆にベータをアンレバードベータから算出する式は以下の式を使います。