要約
- 注記重要項目一覧
- 2種類のリースについて
導入
前のページではキャッシュフロー計算書について扱いました。今回は注記の重要項目を選び紹介します。注記には非常に多くの重要な情報が眠っており、ファンダメンタルズ分析を行う上では必ず読むべき項目です。
性質上重要ではないことは載っていないのですが、今回は投資を考える際に見るべき、一般的な重要項目のみ扱います。
- 要約
- 導入
- 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項
- 会計方針/表示方法の変更
- 連結貸借対照表/損益計算書/キャッシュフロー計算書関係
- リース取引関係
- 有価証券関係
- デリバティブ取引関係
- ストックオプション等関係
- 税効果会計関連
- セグメント情報等
- 重要な後発事象
連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項
主に連結財務諸表に何が含まれているか、どのような基準やルールで記録を取っているかが説明されています。連結財務諸表の構造の一例は以下の図のようになっています。
連結の範囲
連結財務諸表に入っている子会社と入っていない子会社が記載されています。通常気にしなくてもよいですが、連結対象だった子会社が増減した場合、財務への影響を確認する必要があります。
持分法の適用に関する事項
持分法の適用とは原則20%以上50%未満議決権(株式)を保有している会社の純利益、純資産を議決権保有分を連結決算に含むことです。つまり、上記の図で持分法適用会社Dの株式を20%保有していた場合、D社の純資産と純利益の20%がそれぞれ、連結貸借対照表、連結損益計算書に記載されます。
会計処理基準に関する事項
会計基準に関して書かれています。貸借対照表、損益計算書上にそれぞれどのように資産/負債、収益/費用を記載するかのルールが書かれています。
重要な資産の評価基準及び評価方法
確認しなくてはならないのが棚卸資産の評価方法です。会計基準を扱ったページに記載されている通り、複数の評価方法があります。そのため、棚卸資産の評価方法を変えていた場合は財務への影響の確認が必要です。
重要な減価償却資産の減価償却の方法
固定資産の償却方法について記載があります。ここで概ねの資産の償却期間がわかります。のれんの償却方法及び償却期間という項目もあり、そこではのれんの償却について記載されています。
重要な収益及び費用の計上基準
建設、重工業など商品の製造/販売が一年以上かかる場合に確認が必要な項目です。基準の変更があった場合、それが財務に及ぼす影響を確認する必要があります。
会計方針/表示方法の変更
会計方針/表示方法にそれぞれ変更があった場合記載される項目です。いつから何を新しい会計方針/表示方法を取っているか記載されています。この項目があった場合、財務への影響を確認する必要があります。
連結貸借対照表/損益計算書/キャッシュフロー計算書関係
財務3表に関して、より詳しいことが描かれています。主に各項目の内容を詳しく書いています。財務3表の中でより、深堀したい項目があったときに参照します。
リース取引関係
リースとは平たく言うと物の貸し借りの契約でレンタルのようなものです。リース取引は以下の図のように2種類に分かれています。
財務分析を行う際、リース料を減価償却と支払利息として扱うことでより正確な財務分析が行えます。注記では2種類のリースが借主側(借りる側)、貸主側(貸す側)に分かれて、それぞれ記載されています。
オペレーティング・リース取引
所有権の移転を伴わないリース取引について記載されています。借主としてはいわゆるオフバランスのリースとなり、貸借対照表にない簿外負債となります。
特に、オペレーティング・リースの借主の場合、リース債務を有利子負債として貸借対照表に加えることでより正確な財務分析が行えます。
ファイナンス・リース取引
所有権の移転を伴うリース契約です。いわゆるオンバランスのリースで、貸借対照表上に計上されています。また、米国会計基準ではキャピタルリースと呼ばれます。
有価証券関係
有価証券の取得原価と時価を商品ごとに記載されています。会社の投資がうまくいっているか否かを判断することができます。また、有価証券の減損会計についての基準が記載されていることがあります。
デリバティブ取引関係
企業は様々なリスクをヘッジするために、デリバティブを用いています。どのような目的で、どれくらいの額をかけてヘッジを行っている記載しています。ヘッジの契約額が上がっていれば、ダウンサイドリスクが減る一方、アップサイドも減ると理解ができます。
ストックオプション等関係
ストックオプションが過去にどれくらい発行されたかが記載されいます。将来の希薄化の可能性を確認できます。
税効果会計関連
実効税率通り税金を払っていない際に、どのような理由で実効税率ではない税金がかかっているのかを記載しています。将来支払う税金を見積もるには、この項目の分析が必要となります。
セグメント情報等
企業が定める事業のセグメントごとの収益/資産の概要が記載されています。多様な事業や多くの国での事業を行っている会社の場合、極めて分析に重要な項目です。
重要な後発事象
財務諸表作成日以降、有価証券報告書発表までに起きた重要な出来事について記載されてます。