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原油価格の上昇が生活、経済、為替/金利、株に与える影響



要約

  • 原油価格が上昇するとインフレ、金利上昇、円安、株高が起きる
  • 株価や為替は業種、国によって影響が異なる

導入

 OPEC(石油輸出国機構)の減産が決定し、長く続いた原油価格の低迷が終わる兆しが見えてきました。そこで原油価格が経済、市場に与える影響に関して説明します。今回はこれらの影響が我々の生活にどのように影響があるかも紹介します。

原油価格が経済に与える影響

 原油は電力、プラスチック製品、輸送動力など幅広いサービス、製品の原料です。従って、 原油価格の上昇はインフレ(物価上昇)を引き起こします。実際にここ数年間にわたる日銀の異次元緩和にも関わらずインフレ目標が達成できないのは原油価格の下落にありました。

 生活の面から考えれば、ガソリン代、飛行機代が上がるので旅行代金/移動費が上がるのが一番わかりやすい影響です。そのほかにもプラスチックなどの化学品も通常値上げが行われます。

原油価格が金利/為替に与える影響

原油価格が金利に与える影響

 上で述べたように、原油価格の上昇はインフレを引き起こすため、金利が上昇します。なぜならば「金利=実質金利+インフレ率」という構成だからです。

 金利が上昇を始めると何が起きるかというと、住宅ローンなどのローンの金利が上がることになります。従って、ローンを考えている方は早めにローンを組むことをお勧めします。

 また、定期預金、国債、仕組債などを使い資産運用をしている方は、以前より短期間の預金、国債、仕組債で運用することを薦めます。なぜならば、今後金利が上がっていくのに今から10年間今の金利水準となると損するからです。

原油価格が為替に与える影響

 そこで為替はどうなるかというと、以上の議論程簡単ではありません。日本は原油のほとんどを輸入に頼っており、その輸入額は年間7兆円(全輸入額の10%以上)を超えています。従って、輸入する原油額が増えれば貿易赤字となり、円安が進行します。

 一方、国によっては日本ほど原油を輸入に頼らず、原油によるインフレ効果が低い国があります。そういった国は債券の金利の上昇が日本より遅く、長期金利差が縮まることで円高方向に行くこともあります。なぜなら長期金利差は為替レートを変動させる一つの大きな要因だからです。とはいえども、基本は円安方向に向かいます。

 産油国の通貨(米ドル、カナダドル、ボンド等)は特に強くなります。

原油価格が株価に与える影響

 株価は基本的には円安の影響を受けて株高になります。しかし、業種によっては、上がる上がらないがあります。なぜなら、原油はガソリン費などコストとなる業種も存在するからです。そこで、株価が上がる業種、下がる業種を紹介します。

  1. 株価が上がる業種...石油業、化学、商社など
  2. 株価が下がる業種...航空、電力など

 株価が上がる業種は原油価格の上昇が収益に結び付く業界です。一方下がるのは原油価格がコストとなっている会社です。化学メーカーは特殊で基本的に原油価格を参照して商品の価格を上げることができるので概ねコストであるはずの原油価格が上がれば収益向上に繋がります。

金利上昇が株価に与える影響

 間接的な影響として金利上昇による影響がある業種を紹介します。

  1. 株価が上がる業種...銀行、保険など
  2. 株価が下がる業種...不動産、自動車など

 不動産や自動車は一般的にローンを組んで買うことから、ローンの金利が上がるのが逆風と捉えられ、株価が落ちます。なぜ金利上昇により金融株が儲かるかはこちらの以下の記事で紹介しました。

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