要約
- 移動平均線は支持/抵抗線になる
- 2または3種類の移動平均線が交差することで売り買いのサインがでる
- 50日と100日の移動平均線が中長期投資にはお勧め
導入
以前の記事で、テクニカル分析においてはチャート分析が基本だといいました。なぜならプロも含めほとんどの人がチャートを使って何かしらの分析をしているためです。チャート分析の次点として有名なテクニカル分析が今回紹介する移動平均です。移動平均線は支持線/抵抗線になるほか、売り買いのタイミングを示すとも言われています。
移動平均線とは
一般的にxx日移動平均線という形で使われ、株価出来高の両方で使われます。株価のxx日移動平均場合、「直近xx日間の終値の平均を結んだ線」となり、出来高であれば、「直近xx日間の出来高の平均を結んだ線」となります。例えば6日間株価が以下のように動き、その3日間の移動平均は以下のようになります。
4日目では(100+100+120)/3, 5日目では(100+120+120)/3の計算をしています。日が変わるごとにこのような操作を繰り返し、出てきた平均を結ぶと移動平均線が作成されます。これが実際に使われたのは以下の例です。2013-2014年の日経平均の50日と100日移動平均が青と緑、下には出来高の50日移動平均が青で描かれています。
移動平均からわかること
移動平均は直近の終値の平均をずらしていったものであるため、株価の勢いを表すことができます。そのため移動平均線からわかることが2つあります。
- 移動平均線の向き...急になれば株価に勢いがあることを示し、緩やかになれば株価の勢いがなくなってきていることを示す
- 移動平均線と株価の位置関係...一般に移動平均線が株価より上にある場合は市場が弱気であることを示し、移動平均線が株価より下にある場合は市場が強気であることを示す
2のケースでは移動平均線が支持/抵抗線の役割を果たしていることがわかります。更に一般的には、株価に勢いがあればそれに乗り、市場が弱気であれば買いだと言われています。しかし、あくまで移動平均線は過去の株価を追っているため、動きが株価そのものより遅いため確実ではありません。そのため、将来的に株価がどうどうなるかをベースに移動平均線を使うのがよいでしょう。
移動平均を計算期間
移動平均線は平均を計算する日数によってかなり線の形だけでなく、性質も変わってきます。一概にどれがいいというのは難しいですが、以下の移動平均の期間を見てみましょう。また、注意点としては株に限らず金融商品の取引は月-金の5日間で一週間であるため、移動平均を使うときは5の倍数の日数を用いるのが基本です。期間ごとに分けて性質を見てみましょう。
- 短期間(5-15日)...動きが激しく、頻繁に移動平均線の向きが変わったり、株価との位置が変わる。株価の異常な動きをも拾ってしまうため、誤った判断を促されがちな一方、トレンドが反転する際には有用。
- 長期間(75-200日)...動きが滑らか。反応が遅い一方で、短期の株価の調整に惑わされないためには有用。
- 中期間(20-50日)...動きが滑らかである一方、よく動く短期間と中期間との間。通常短期間もしくは長期間の移動平均と一緒に使う
実際に2013-2014年の日経平均のチャートで見てみると以下のようになります。緑が10、青が50、赤が200日の移動平均です。
複数の移動平均
移動平均は単体で使うならば支持/抵抗線の意味合いが強いですが、売り買いの基準としてメジャーなのは2か3つの移動平均線の位置関係です。一般的には、短期間の移動平均線が上から順番に並んだ時に買い、長期間の移動平均線が上から順番に並んだ時に売りと言われています。ただし、あくまで順番がこの通りに入れ替わった直後でのみです。先ほどのチャートで3本が買いを示したのは以下の赤丸の部分です。
見ての通り、200日の移動平均線を使っているため遅い反応となっているのと左の赤丸は誤った買いのサインです。
よく使われている2本の移動平均線のペアは5日と20日、10日と50日、50日と100日です。個人的には、中長期株式投資においては50と100日が有効なときが多いのではないかと思っています。株短中期売買とFXには10日と50日がオススメです。
また、3本ペアは4日と9日と18日が先物やFXでよく使われている印象です。