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項目別に理解する株,FX,先物の注文方法解説



要約

  • 注文単価の決定方法は指値、成行の2種類ある
  • 指値は価格は確実な一方で注文が執行されるかは不確実、成行は価格が不確実な一方で注文は確実に執行される

 導入

 今回は、いざ株,FX,先物を注文しようと思うと困る注文方法に関して説明します。最初見ると、どうしたらいいのか戸惑うと思いますが、すぐになれるもので大したことはありません。注文数量、単価を中心に、注文時に必要な項目ごとに紹介します。今回は株メインですが、FX、先物でも大体一緒です。

 以下が株式の発注画面の一例です。ちなみに証券では注文が執行されることを約定(やくじょう)するといいます。

買付(かいつけ)余力(買付可能額)

 上の画像ではないため、こちらに別の証券会社の注文画面を貼っておきます。呼び方は会社によって異なりますが、ここに表示される額が以下で説明する現物での取引可能額です。

取引区分

 大きく分けて現物と信用の2つの取引方法があります。それぞれについて紹介します。

現物取引(げんぶつとりひき)

 通常の取引方法です。レバレッジなしで株を買う、もしくは持っている株を売ります。コストとして売買手数料のみがかかります。

信用取引

 証券会社ごとに設定されているレバレッジをかけて株の取引をする方法です。基本的には証券会社から資金を借りる、もしくは誰かから株を借りることになります。そのため、コストとして売買手数料の他、資金もしくは株を借入れるための金利などがかかります。また、信用取引では売買規制がかけられることがあります。以上のように注意点が多いため本記事ではなく以下の記事で扱います。

investall.hatenadiary.jp

板(いた)

 各銘柄の注文状況を見るためのツールです。これを使い、各価格に対し、何株注文が出ているか確認することができます。以下の画像が一例です。買/売気配(うりけはい)株数が各価格に対し、何株注文が出ているかを表します。この画像で言えば6,768円で5,600株の売り注文が出ています。

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発注株数

 発注株数は銘柄ごとに指定されている単元の倍数しか買えません。例えば、100株を1単元としている銘柄を50株だけ購入ということは通常できません。買うとなると100株,200株…となります。証券会社によっては単元未満で買う方法もありますが、お勧めしません。実際に以下のトヨタの例を見てみると売買単位として100となっているため100の倍数でしか購入できません。

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発注単価決定

 発注単価を決める方法は大きく分けて成行(なりゆき)と指値(さしね)の2種類あります。株の注文で最も大きなリスクは注文執行価格の変動と注文執行完了の成否です。しかし、値段を定めて確実に全て注文を執行することは不可能なため、2種類の注文方法では、注文執行価格もしくは注文執行完了のいずれかを確実にし、もう一方を諦めています。

指値(さしね)

 指定した価格より必ず有利な価格で注文を執行する一方、注文を全て執行できるか不確実な方法です。つまり、買いならば指定した値段以下で買い、売りならば指定した値段以上で売ります。そのため、発注した数量が指定した値段以上/以下にならなければ全ての注文を執行せずに終わります。これが通常の指値注文である一方、逆指値という注文方法があります。この場合、買いならば指定した値段以上で買い、売りならば指定した値段以下で売ります。つまり指値の逆の注文になります。

成行(なりゆき)

 最も有利な価格で確実に注文を執行する一方で、執行価格が不確実な方法です。つまり、買いならば板に出ている一番安い売気配値(けはいね)、売りならば板に出ている一番高い買気配値で注文が執行されています。取引数量に満たない場合、取引数量を満たすまで有利な価格から順に取引を執行します。また、気配値が変われば注文執行価格も変動するのがリスクとなります。例えば、先ほどの画像の板では買い注文5,600株までは6,768円で注文執行されますが、それ以上になると1,700株6,769円、2,000株6,770円...となります。
 成行には主に5種類あり、それらを紹介します。通常の成行では、発注してその時点での最も有利な価格で注文が執行されますが、その他ではタイミングが違います。以下がタイミングをまとめた図です。寄付、引けではそれぞれ寄付、引けで注文が執行されます。不成(ふなり)、大引不成(おおびけふなり)では指値で注文しておき、引けまで注文が執行されなければ、引けで成行で注文が完了する方法です。大引不成の場合は前場の引けでは成行にならず、大引けのみで成行になります。

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発注期間

 発注した注文がいつ失効するかの期限です。通常指定した日の後場終了後に失効します。

預り区分

 発注する注文はどこの口座を対象にしているかです。個人投資家であれば、特定口座を選択するのが一般的だと思います。

その他の注文方法

 今まで扱ってきた注文方法はどの証券会社でもある注文方法です。このほかに証券会社や商品によって存在する応用的な注文方法を3つ紹介します。FXや先物取引でよくみられます。

IFD(if Done)

 これは通常の注文に加え、その注文が約定した場合にのみ、直後にもう一つ注文を出す方法です。以下の図のような感じです。 注文時に損切りラインを割らない限り持ち続ける、もしくは購入時に利益確定ラインが決まっている際に有効です。

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OCO(One Cancels the Other)

 この注文方法では一遍に2つの注文を出し、片方が約定するともう一方の注文をキャンセルします。利益確定と損切りの注文を同時に出せるタイプの注文になります。

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IFO

 先ほど説明したIFDでいう1つめの注文約定後に出す注文がOCOとなるタイプです。注文時に利益確定と損切り両方が決まっている場合に有効です。

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