投資の世界に生きる

プロ投資家として投資の基礎を発信


投資に全く縁がなかった方に伝えたい投資をする上で考えるべき4+1要素



要約

  • 投資は現在の確かな価値を代償に将来の不確かな価値を狙うこと
  • 投資は1.投資対象物 2.投資期間 3.投資に関わるコスト 4.期待リターン/リスクで決定され、5.投資によるお金の流れ(キャッシュフロー)を把握することが重要

導入

 本ブログでは証券市場への投資、調査を行ってきた知見を活かし、金融商品のみならず様々なことを投資の観点から調査、検討していきたいと思います。

 そのため、本ブログで扱うような投資の話を聞く際、どのようなポイントに着目するすればいいかを紹介したいと思います。これから紹介するポイントは本ブログのみならず、投資話を理解する上でのフレームワークにもなると思います。また、本ブログの投資話は全て以下のポイントを中心に紹介します。

投資とは

 ノーベル経済学賞を受賞したスタンフォード大学シャープ教授の教科書Investments(1998)によると、"投資とは、将来の不確かな価値のために、現在の確かな価値を代償にすること"とされています。(シャープ教授は証券投資の権威で、資産価値評価の基本となるCAPM理論やファンドのリターン分析に使われるシャープレシオを考案した方です。)

 この定義文を読むと、将来っていつなん?、どんくらい不確かなん?、将来と現在の価値ってどんくらい?とツッコミができると思います。これらが投資を決定するには必要なのです。

投資を決定する4+1要素

先ほどの疑問点を踏まえ、投資を決定するには以下の4点が必要となります。

  1. 対象物...何に投資をするのか
  2. 期間...投資を始めてリターンを得るのにどのくらい時間がかかるのか
  3. 必要リソース量...投下しなければならない資本、労力...etc(=コスト)
  4. 期待リターン/リスク...どのくらいの収益が上がるのか/収益にどのくらいブレがあるのか

 基本的に投資はこの4点がはっきりしていれば行えると考えられます。これらのポイントに加え、投資を考える際、お金の流れを把握することが大事です。お金の流れをキャッシュフロー(Cash Flow, CF)と呼びます。投資の収益と費用はキャッシュフローを元に測定されます。参考までに、キャッシュフローは日本証券業協会では以下のように説明されています。

 一定期間に流入するお金をキャッシュ・イン・フロー、流出するお金をキャッシュ・アウト・フローといい、両者を総称して「キャッシュフロー」といいます。(キャッシュ・フローとは何ですか? | 日本証券業協会)

 投資に関わらない方には聞きなれない言葉だと思いますが、投資を考える上でよく使われます。

 では、上記の4点から投資の成功/失敗を分けるのは何かを考えてみましょう。1, 2の要素は投資を行う人が主観的に決定し、投資に与える条件です。そのため、これらは適切に設定すれさえすれば問題にはなりません。特に、投資対象物に対して適切な期間を設定することが重要です。一方、3, 4の要素は客観性を保ちつつ、網羅的に計測する必要があります。特にリターン/リスクは将来起きることであるため、必ず正しい予想を立てることは不可能です。そのためもっともらしい予想に頼らなくてはならないのが難しいところです。

 簡単な不動産投資の例で考えてみましょう。1億円のマンションで30室あるとします。1室の家賃を年100万円としましょう。これを先ほどの4点に分けて考えます。

  1. 対象物...マンション
  2. 期間...5年
  3. 必要リソース量...1億円(本来なら金銭面では管理費や税金、自己管理すれは労力等がかかります)
  4.  リターン/リスク...稼働率70%を前提に500万円の利益/稼働率の変動

 以上が簡単な例を4要素に当てはめた場合です。(2,3,4は適当に選んだ数値です。)また、お金の流れは、住民から家賃として投資家に流れるという仕組みです。(投資家がマンション購入のため支出するという一時的な流れもあります。)更に投資の例をこちらの記事では挙げています。

 実際に投資判断をするには必要コスト、リスクリターンの数字の裏側を調査、検証する必要があります。しかし、投資に関して勉強をされた方ならリターンに関して違うリターンの測り方があると指摘をされると思います。実はリターンには様々な計測方法があるのです。リターンの計測方法についての基本はこちら。

 

investall.hatenadiary.jp

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